みなさんもご存じのとおり、中小・零細企業の資金繰り対策として債務の返済猶予の制度が創設される見込みです。


@三年程度の元利金の支払いの猶予
A金融機関への利子補給
B倒産時の国による元本保証


以上の3点が柱となるようです。


この制度が創設される事により、借入金の返済等に資金繰りが圧迫され正常な営業活動が一時的に不能に陥っている会社で、今後、正常な営業活動を行う事ができる可能性がある会社等を救済する事ができます。このような会社にとっては非常に有効な対策であると考えられます。


しかし、実際にそのような会社がどのくらい存在するのでしょう。実現の可能性は別としても、この制度が適用されるには、少なくとも正常な営業活動を行うための現実的な道すじを示す事ができる会社でなければなりません。



既に国は30兆円の緊急保証という実質的な猶予を行っています。この融資時にどれだけの会社が経営の根本的な問題解決の方法を示す事ができたのでしょうか。制度の目的を近々の失業者の減少という一点に絞った場合には有効であると思いますが、果たしてそれに30兆円の保証分の価値があったかどうかは疑問です。


この一連の金融対策で日本の会社の大部分を占める中小・零細企業の明日、そこで働く従業員の明日の生活は守られるでしょう。


ただ、あくまでもそれは猶予されるだけであって、これによって現在の危機的な状況が解決するわけではありません。


経済の動向をひとつの政策をとって考えるというのは不適当なのかもしれません。ただ、誰もがわかっている事は、借りたものはいつかは返さなければならないという事、返す事ができなければ退場するしかないという事、そして、最終的に退場者のツケを負担するのは国民であるという事です。

 
どれくらいの会社が再生できるのかは結果を見なければわかりません。2年後、3年後には問題は解決しているのかもしれません。もしかしたら、次の猶予が生まれているのかもしれません。ただ、この「猶予」が退場への猶予ではないことを願いたいです。


少なくとも当事務所の関与先の方々については本当の意味での猶予であるために、冷静な目で、会計事務所としてできる限りの協力をしていかなければならないと思っています。


岡野 直樹