今年もあと1ヶ月余りで1年が終わり、年々時が経つのが早い感じがしています。
みなさんも年末に向けて忙しくなってきているのではないでしょうか?


さて先日、当事務所において、東京海上日動の401K担当の社員さんをお招きして、確定拠出年金(401K)についての勉強会を行いました。今回は「小規模企業共済制度」と絡めてお話ししたいと思います。


制度の内容を簡単に説明します。


●確定拠出年金(401K)


国の税制優遇のもとに企業又は個人が拠出した掛金を商品を選んで運用し、高齢になったときに給付を受ける制度です。


確定拠出年金は2つの種類があり、企業が導入する「企業型確定拠出年金」と個人が任意で加入する「個人型確定拠出年金」があります。


運用商品である元本保証型商品や投資信託商品から加入者が選択できますが、加入されているほとんどの人は元本割れを避けるために、元本保証型商品を選択されているようです。


掛ける目的は将来受け取る公的年金の上乗せを積み立てることを主と考えた方がいいかと思います。


●小規模企業共済


国の優遇税制のもとに小規模企業の個人事業主または会社等の役員の方が事業をやめられたり退職された場合の退職金をあらかじめ準備しておく共済制度です。


掛ける目的は経営者の退職金を積み立てることを主と考えた方がいいかと思います。




両方とも掛金を支払う時は全額所得控除(企業型は損金算入)であり、受取時も掛金以上の金額が期待でき、所得控除も大きいので、税制優遇としてはメリットがあると思います。


それでは違いは何か? 


それぞれの特徴を比較してみます。(小規模企業共済と比較するために確定拠出年金は「個人型確定拠出年金」と比較します。)


●加入対象者


<個人型確定拠出年金>


・国民年金の第1号被保険者で、保険料を支払っている20歳以上60歳未満の方(付加年金を支払っている方も可)
・厚生年金の第2号被保険者で、企業年金の対象になっていない60歳未満の方(公務員は不可)


【ポイント】個人事業主や会社の役員・従業員でご本人が会社の企業年金制度や確定拠出年金の加入対象でなければ入れます。(従業員も加入可なので、対象者の範囲が広い)


<小規模企業共済>


・常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社役員
・一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員


【ポイント】上記の規模の事業者及び役員のみ加入可なので、対象者の範囲は狭い


●掛金


<個人型確定拠出年金>


月掛け5,000円以上1,000円単位で自由に設定(限度額:第1号被保険者→68,000円/月、第2号被保険者→18,000円/月(平成22年1月より23,000円/月))


【ポイント】
◎年度内1回、1,000円単位で増減可(5,000円〜限度額の範囲内)
◎原則中途解約は不可
◎中断は要件なく可能(ただし、若干の手数料は継続される)
◎加入してから受け取りが終了するまでの間、若干の手数料が発生する
◎運用予定利率は元金保証型商品では現在1%ぐらい、その他投資信託商品は利率は高いがリスクもある



<小規模企業共済>


月掛け1,000円以上500円単位で自由に設定(限度額:70,000円/月)


【ポイント】
◎増額はいつでも可能ですが、減額は事業経営の著しい悪化等の理由で確認を受けた場合可能
◎中途解約は可能(ただし、解約手当金は掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満の場合は、掛金合計額を下回る(一時所得となり退職所得控除の対象ではありません)
◎中断は所得がない場合や入院している場合など継続が困難であると認められた場合に限り、掛金納付を6ヶ月または12ヶ月停止することができる
◎前納減額金(前納による割引金)あり
◎納付した掛金の範囲内で事業資金の貸付あり
◎運用予定利率は現在1%


●給付開始年齢


<個人型確定拠出年金>


加入期間により60歳〜65歳から受取可能で70歳まで引き延ばすことも可(ただし、満60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は受け取り可能な年齢が最大65歳まで繰り下がります)


【ポイント】加入時年齢から60歳までの期間が短く、かつ毎月の掛金額が少額の場合は手数料等により、受取金額が掛金額合計を下回る場合がある


<小規模企業共済>


事業の廃止・解散・疾病・死亡退職や会社の役員の任意退職に受取可能若しくは満65歳で15年以上掛金を納付した場合は老齢給付として解約可能


【ポイント】退職の仕方などにより受取り金額が異なるが元金以上は受け取れます。ただし、65歳未満の任意解約は20年以上掛けていれば元金以上が受け取れますが、「一時所得」扱いになる


●給付時の税制の取り扱い


<個人型確定拠出年金>


年金受取(基本的には5年〜20年):公的年金等控除の対象
一時金受取:退職所得控除の対象


【ポイント】選択、併用可能(ただし、一時金受取の場合は退職所得控除の対象ですが、受け取った年の前年以前14年以内(通常は4年以内ですが)に退職手当等の支払を受け、勤続(加入)期間と重複している場合は退職所得控除が減額されるので注意が必要
   


<小規模企業共済>         


一時金受取:退職所得控除の対象
分割受取(掛金合計3百万以上で10年か15年の分割受取可能):公的年金等控除の対象


【ポイント】選択、併用可能




以上、おおまかではありますが、上記の通り、それぞれ特徴がありますので、ご自身にあった掛け方が必要になると思います。


特にお若い個人事業者・経営者の方には小規模企業共済に加入してもらうように勧めています。


というのも、加入期間が長ければ長いほど、将来受け取る退職金にかかる税金を計算する際の退職所得控除の額が多くなるので、税負担が抑えられるためです。


ですので、資金繰り上、あまり多くは掛けられない方でも、まずは1,000円でもいいので若いうちに加入していただき、将来資金の余裕ができれば増額しもらい、最低でも満65歳以後に解約して老齢給付という形で受け取るようお話しております。


また個人型確定拠出年金には元金保証型商品もありますので、小規模企業共済と併用するのも一つの案かもしれません。


受給される方に関しては受取年齢や受け取り方法に十分注意し、退職所得控除、公的年金等控除を念頭に入れて試算し、お客さまに合った受け取り方になるようアドバイスしております。


上野真章