今回は年末のこの時期に多くのみなさんが対象となる、年末調整について少しお話ししたいと思います。


11月に入ったくらいから保険料の申告書が各自に配布され、年末調整の準備が始まると思います。その中で、例年、必ずと言っていいほど次のような事をおっしゃる方がいらっしゃいます。


●前の会社が源泉徴収票を発行してくれない。(うちは個人事業者なので源泉徴収票は発行しないと言われた方もいらっしゃいました。)
●他に不動産収入があるので自分で確定申告をします。
●前職や各種控除の内容を見せたくない?から自分で確定申告をします。
●控除証明書の再発行に時間がかかるので自分で確定申告をします。


本来、年末調整で精算可能なものは全て年末調整で行わなければなりません。つまり、年末調整を省略し確定申告で精算をする事はできません。


少し法律っぽく言うと「確定申告において源泉所得税の過不足の精算を行うことは、所得税法の予定するところではない。」という事だそうです。


したがって、他に所得があっても年末調整はしなければなりませんし、証明書が遅れているのなら遅れてもいいので年末調整しなければなりません。内容を見せたくないというのはプライバシーの問題で済むのでしょうか…。もちろん個人事業者であっても源泉徴収票の発行義務はあります。


しかし、実務上は、「最終的に年税額があっていればよい。」「事務負担が増える。」などの考えから確定申告を推奨されている会社が多いのではないでしょうか。税務署もこのような慣例にうるさく言うことはないと思います。



税法だけに言えることではないのでしょうが、法律通りに全てを行うということは難しい事だと思います。(不可能なような気もしますが…)


ただ、気をつけなければならない事は、このような慣例を際限なく増やしていくと言うことは、最終的に納税者の首を絞めることになってしまうということです。


このような考えであやふやな処理をするという事は、何かあった時の判断を課税する側に委ねるという事になってしまいます。


もし、争いが起きた時には「今までは何も言われなかった。」「他の人もやっている。」などと言うことは、もちろん通用する訳もなく、法律通りの処分が下されます。


納税者の方も税務署や税理士事務所の言うことを鵜呑みにせず、「本来の法律通りに処理をするとどうなるの?」と、一度聞いてみて考えてみるのもいいのかもしれません。


岡野直樹