来日する外国人や海外へ赴任する日本人に日本国内で給与などの支払いがある場合
日本における住所又は居所の有無に基づいて、「居住者」と「非居住者」の区分によって
所得税の課税の取り扱いが異なります。
(「住所」は「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって
判定する」ことになります。)


居住者(所得税法2条1項3号)
 国内に住所を有し、又は現在まで引続いて1年以上居所を有する個人をいい
所得税及び住民税の納税義務者になります。
さらに、居住者は次のように非永住者と永住者に区分されます。


非永住者(所得税法2条1項4号、7条1項2号) 
 居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は
居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。
非永住者については、国内源泉所得及び国外源泉所得のうち日本国内で支払われた
又は国外から送金されたものが課税対象となります。


永住者(所得税法7条1項1号)
 居住者のうち非永住者以外の個人をいいます。
永住者については、国内払いか否かにかかわらず
全ての所得が課税対象とされます。


非居住者(所得税法2条1項5号、7条1項3号)
 居住者以外の個人をいいます。
具体的には、1年未満の短期滞在を予定している者が該当します。
国内源泉所得のみが課税対象となり、国内源泉所得に対して20%の源泉分離課税
(復興特別所得税を加味すると20.42%)。住民税は課されません。


−来日する外国人等−
  ◎来日時の予定滞在期間  1年以上又は期間が未定
             ↓
「居住者」
(1年未満で帰国した場合も帰国時までは「居住者」としての扱い)

◎来日時の予定滞在期間  1年未満
(日本での在留期間が契約等により1年未満であることが明らかな場合)
            ↓
「非居住者」


−海外赴任する日本人等−
●海外赴任する日本人等
◎出国時の予定滞在期間  1年以上又は期間が未定
            ↓
「非居住者」
(1年未満で帰国した場合も帰国時までは「非居住者」としての扱い)


◎出国時の予定滞在期間  1年未満
(海外での在留期間が契約等により1年未満であることが明らかな場合)
            ↓
「居住者」


最初の記載通り、居住形態によって課税関係が異なるため、居住地判定は日数だけでは無く
住居、職業、国内において生計を一にする配偶者その他親族を有するか否か、資産の所在等から総合的に検討する必要がありますので、ご注意くださればと思います。



上野真章