2014年04月23日
平成 25 年度税制改正では、基礎控除の引下げ等による相続税が増税になる一方
相続人の生活基盤に配慮した減税として小規模宅地特例の見直しが盛り込まれています。
小規模宅地等の特例のうち、居住用に関する改正の一つとして、老人ホーム入所による
小規模宅地等の特例の見直しがありました。
老人ホームに入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋の敷地については
改正前の要件でなければ小規模宅地等の特例は受けられないとされていた部分がありました。
<改正前>
1.被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため
老人ホームへ入所することになったものと認められること。
2.入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
3.被相続人がいつでも生活ができるようその建物の維持管理が行われていたこと。
4.その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が
取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。
特別養護老人ホームなどは介護を要する人のための介護施設であるため
病院の入院と同じく「生活の拠点」とはいえませんが有料老人ホームなど所有権型・終身利用権型の老人ホームに入居した場合には、「生活の拠点」は老人ホームにあるものとして
自宅に係る小規模宅地特例の適用を認めていませんでした。
今回の改正では終身利用権を取得していても<改正後>の1と2を満たせば
以前に居住していた自宅についても小規模宅地等の特例適用が可能となります。
<改正後>(平成26年1月1日以後の相続より)
1.被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
2.居住しなくなった家屋が貸付けなどの用途に供されていないこと。
また、適用対象となる老人ホーム等が今回の改正で明文化され
介護の必要のために入居する施設は、ほぼ対象となります。
・ 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(老人福祉法第5条の2第6項)
・ 養護老人ホーム(老人福祉法第20条の2)
・ 特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)
・ 軽費老人ホーム(老人福祉法第20条の6)
・ 有料老人ホーム(老人福祉法第29条第1項)
・ 介護老人保健施設(介護保険法第8条第27項)
・ サービス付き高齢者向け住宅
(上記の有料老人ホームを除く高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項)
・ 障害者支援施設又は共同生活援助を行う住居(障害者総合支援法第5条第11項、15項)
高齢化社会の進行によって、介護が必要な方が増え続け、高齢者施設が増加する中
親と離れて住んでいる家族にとってはこの改正により小規模宅地等の特例の対象範囲が
広がったことによって恩恵を受けられる人は多くなると思います。
上野真章