新年度が始まり3カ月が経ちました。新しい生活を始めた方も今の生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。税金に関しての平成22年度改正も実務の中ではだいぶ落ち着いてきたようです。


今回はその改正の中で、不動産関係の中で少し話題となっていた消費税の改正についてお話ししたいと思います。


この改正で、以前から頻繁に行われていたマンション等の建築費用の消費税還付を受けるメリットが小さくなりました。ご存知の方も多いと思いますが、これは課税事業者の選択制度や簡易課税制度などを使って消費税還付を受けるものでした。中には明らかな租税回避(ほとんどだと思いますが…)と思われるものもあり、なんらかの規制が行われるだろうと前々から言われてきました。


どのような形で規制を加えるかが問題となっていましたが、課税事業者選択の事業者と新設法人の課税事業者適用期間及び簡易課税への変更に規制を加えることとなりました。結果として、租税回避分プラスわずかな増税になったのでしょうか。


設備投資分の消費税に調整をかけるという事ですから、課税売上割合の変動の調整からの調整も可能な気がしますが、より大きな範囲で規制するということでしょう。特に簡易課税の点については論理的にどうなの?と思うところもありますが、抜け道をふさぐという為にはこうならざるを得ないのでしょう。


このように消費税も導入から20年が経ちどんどんと複雑になってきています。今後も品目ごとの税率などが導入されることとなれば更に複雑になってくるでしょう。


確か学生のころ税とは公平・中立・簡素であるべきなどと習ったような気がします。上記の消費税の例は一見すると公平を担保するために簡素を犠牲にしているように思えます。


しかし、このような抜け道ができたのは1000万円以下の免税や簡易課税制度があったためです。何をもって公平とするかは難しいところですが、簡素にしていけば少なくともこのようなケースでの表面的な公平の議論はしなくてすむのではないでしょうか。
 

小規模事業者の事務負担や消費税導入当初の反発回避などもあり規定されたものなのでしょうが、簡素の面からも本来の消費税の原理から考えてもそろそろ見直しの時期なのではないでしょうか。


岡野直樹