10月に入り、だいぶ涼しくなって過ごしやすい季節になりました。


先日、「社会福祉法人経営の現状と課題、会計の動向と方向性、人材確保と経営」についての講演会があり参加してきました。


この講演を聞いて、中小零細企業(営利法人)と同様に社会福祉法人においても事業経営が厳しい状態にあることを実感しました。


介護保険法の導入で措置から契約へ変わり、収入を得るためには、営利法人のように利用者を顧客として獲得し、事業所自身が収入を得るための経営努力をしなければ、収入が不安定になり、資金繰りの悪化を招いてしまいます。その対策として、各事業所の現場での支出管理を行い、総ての職員がコスト意識を高めることが必要です。


また、事業所の現状を把握するために、資金繰りや予算比、前年比、人件費率その他さまざまな角度で分析をし、今後の方向性を決定するために、会計業務の必要性は大きいと思います。あわせて、各事業所の責任者にも月次状況や決算書の内容を把握し、経営状況を理解してもらい、予算作成も携わることで、運営意識が高まっていくと思われます。


しかしながら、営利法人ように利益追求を主としていくのでは、介護事業の本質が見失われてしまいます。


「人」による「人」へのサービスである介護事業では、事業所の介護サービスの質の向上を目指して取り組むことが本来の在り方であり、施設の事業理念を個々の職員が所内での掲示や会議や研修を通じて共有し、それを個々のサービスを通じてどの程度実現出来るかが重要であります。


そのためには、事業所における総ての職員が、その能力を十分発揮することにより、事業所の事業に貢献し、その貢献が、人事・処遇の上で適正に評価されることを目的とする職員管理が必要です。その機関として、雇用管理責任者を置くことが望ましいです。


しかし、今の介護報酬では人材確保・定着のための十分な賃金が払えないとする事業所も多く、離職率が高くなっている原因の大部分を占めているようです。


行政も処遇改善交付金の実施で、賃金アップを図っていますが、期限がある交付金ですので、その後もアップした賃金の維持を事業所ができるよう運営しなければなりません。


老人介護事業の運営にあたっては…


●職員の待遇を良くしてサービスの質の向上を目指さなければならない。


●一方で、経営面ではシビアに管理運営し、ある程度の利益を得て事業を安定させなければならないので、職員の待遇をより良くすることは難しい。


このような矛盾さは介護事業が公益性も有する事業であるためであり、今後、行政と社会福祉法人のさらなる努力が必要になるかと思います。


これからの介護は、地域社会と一体になって施設がサービスを提供する方向のようです。(地域包括ケア)


サービスの質の向上、経営面、雇用管理などさまざまな問題が山積ですが、今後、老人介護事業は生活支援サービスの一つとして果たす役割は大変大きいと思います。


上野 真章